エリッ
ク・ショプラー PhD
(1927-2006) TEACCH部公式発表版
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自閉症スペクトラム障害の診断と治療の国際的権威であるエリック・ショプラー博士が2006年7月7日ノースカロライナ州メベイン郊外の自宅でがんのため
死去。 79歳であった。 博士はがんに対して勇敢に立ち向かっていた。
ショプラー博士は1960年代初頭に自閉症児の知覚に関する博士論文の研究を行い、その後のすばらしい経歴の中で自閉症児者の治療を革新した。 またこ
の障害の原因として親を非難していた当時主流の精神分析理論を、研究に基づく発達理論に置き換える上で中心的な役割を果たした。 その後の研究をもとに自
閉症児やその親に対する適切かつ効果的な介入方法の開発に成功し、ノースカロライナ州は1971年全米初の州予算を使った自閉症児治療プログラムを確立し
た。 まだこの分野が未発達であった時代に導入されたこのプログラムの自閉症に対する人間的で革新的なアプローチは世界中の自閉症児者の治療教育に影響を
与えた。
ショプラー博士は1927年ドイツのフルトで著名な弁護士であったアーンスト・ショプラーとその妻エマ・オッペンハイマーの3人の子供の2番目として生
まれた。 博士は子供時代にはドイツの反ユダヤ社会政策は知っていたが、個人的に反ユダヤの経験をすることもなく、うそのように幸せな生活を送っていたと
しばしば述べていた。 しかし、同時に、ユダヤ人の教師や、友人、知人が突然姿を消したり、拘束されたり殺されたりしたので、「何かが間違っている」とい
う意識も持っていた。 この意識と忍び寄るホロコーストに巻き込まれるのを避けるために一家が突然アメリカに移住したことから、なぜ特定の個人やグループ
が他の市民によって社会から締め出され、誤解され、スケープゴートにされるのかという疑問に生涯にわたる関心を抱くようになった。
ショプラー一家は1938年米国に移住し、ショプラー博士の父はアメリカ法を学び、ハーバード大学法律大学院で博士号を取得し、その後ドイツの軍政府長
官、ルシウス・クレイ将官のスタッフとなり、戦後ドイツにおいて脱ナチ化法律施行の任務を受け持つ法律部門の長として勤めた。 ショプラー博士はニュー
ヨーク州ロチェスターの高校を卒業後、米国陸軍に入隊し、その後シカゴ大学に通って社会福祉行政の学位を経て1964年に臨床児童心理学で博士号を取得し
た。
大学院時代、ショプラー博士の関心は自閉症(当時は「小児統合失調症」と呼ばれていた)の本質と自閉症に対する最善の療育方法とそのプロセスにおける親
の役割という表裏一体の問題の答えを見出すことにあった。 やがて彼は、心理的障害であるという当時の一般的な自閉症に対する見方と、子供の障害の原因と
して親をスケープゴートにするやり方が間違っていることを確信し、当時普及していた理論的誤りを正すには実証的研究しかないと考えた。 その結果、かれは
自閉症児の知覚受容についての実証研究として博士論文研究の組み立てを行った。 この研究はでは、自閉症児は視覚や聴覚などの遠受容器より、触覚や嗅覚な
どの近受容器に対する依存が強いことを見出し、これがこの障害の神経学的基盤の確立に向けての最初の研究の一つとなった。
1964年、ショプラー博士はノースカロライナ大学チャペルヒル校の精神科の教官となり、まもなく小児精神科のレジデントを終えようとしていたロバー
ト・ライクラー医師とともに仕事を始めた。 彼らはショプラー博士の博士論文の研究が自閉症児療育に与える意味合いを探求し、国立精神保健研究所からの助
成金を得て構造化された環境を療育に用いることの研究を行った。 同時に自閉症児を持つ親についても調査を行い、親がこどもの障害の原因でないばかりか、
療育においてきわめて効果的な協働療法者であることを見出した。 この5年間にわたる研究の中で、自閉症児の重要な生活スキルの獲得支援に成功したため、
この研究にかかわった家族はこれに終止符を打つことに反対した。 ショプラーやライクラーとの協力で、家族は州議会に恒久的資金援助の請願をし、その結果
TEACCH部が誕生した。 創設以来TEACCHは自閉症児者に対する専門的な教育介入の必要性と親と専門職の協働の重要性を強調してきた。 DSMW
の治療冊子の中で自閉症スペクトラム障害に対する最先端の介入方法として取り上げられたことで、このTEACCHモデルは精神化の領域で広く認識されてい
る。
40年にわたる経歴の中でショプラー博士は自閉症スペクトラム障害に関して200以上にわたる著作や論文を書いており、そのもっとも最近の著作が「自閉
症スペクトラム障害に対するTEACCHアプローチ」である。 1974年から1997年まで博士はJournal of Autism and
Developmental
Disordersの編集者を務めた。 彼のたゆまざる研究の結果、もっとも初期の診断治療プロトコールのいくつかが開発され、今日でもそれらは広く利用
され、10以上の言語に翻訳されて、TEACCHモデルにのっとった世界中の自閉症プログラムで用いられている。 ショプラー博士のリーダーシップの下、
TEACCHプログラムは当初の3つのクリニックと公立学校における10の自閉症学級から、9つのクリニックと300を超えるTEACCH提携学級へと拡
大している。 また同プログラムでは世界中の保護者と専門家を対象とした包括的訓練部門、学部生、大学院生ならびに大学院終了研究者のためのインターン
シップや博士課程後プログラム、ならびに自閉症児が成人する事実を踏まえた援助就労プログラムを開発してきた。 1993年ショプラー博士は準退官し、こ
のプログラムの運営をゲーリー・メジボフ教授の手にゆだねた。 同教授の指導の下でTEACCHは更なる発展を続け、TEACCHにおける最初の居住施設
や職業プログラムも始まった。
ショプラー博士は、小児研究プロジェクトに対するアメリカ精神医学会のゴールド・アチーブメント賞(1972年)、人類の福祉への最大の貢献に対する
UNCのオー・マックス・ガードナー賞(1985年)、全米心理士会による公的サービスへの貢献をした優れた専門家賞(1985年)、NC医療研究財団の
ユージン・A・ハーグローブ精神保健研究賞(1988年)、州の最高の賞であるノースカロライナ賞(1993年)、エデン研究所の自閉症者に対する卓越し
たサービス賞(1995年)、全米心理士会の知識とサービスにおける優れた貢献賞(1997年)、ノースカロライナ自閉症協会のライフタイムアチーブメン
ト賞(2005年)、IMFRのライフタイムアチーブメント賞(2006年)、ならびに2006年後半に彼の死後与えられることになったアメリカ心理財団
の心理学応用の業績に対する金賞など数多くの賞を受賞している。 さらにショプラー博士は世界のさまざまな自閉症関連団体からも数多くの賞を受けている。
ショプラー博士に対する一連の表彰のハイライトの一つが2005年5月に自閉症児者に対する彼の生涯にわたる業績と二つの栄誉をたたえるために彼の友人
や彼を尊敬する人々が全米、世界中から集まったガラ祝祭であった。 二つの栄誉とは、自閉症の理解と治療に対する彼の称賛に値するリーダーシップと継続的
な貢献をたたえたエリックショプラーライフタイムアチーブメント賞の初代受賞と、UNCチャペルヒル校に自閉症研究のためのエリック・ショプラー寄付チェ
アを支援するための基金の創設である。
その専門家としての多忙な生活にもかかわらず、ショプラー博士はそれに勝るとも劣らず充実した実り多い個人生活を送った。 時間を見つけては、家族とと
もにメベイン郊外の自宅でにわとり、馬、牛、ウサギ、なまずなどを飼育した。 かれはいつも何か新しいこと、やってみると楽しいであろうことを考えてい
た。 自分でやり方が分からないときには、手を貸し、指導してくれる友人を常に見つけることができた。 納屋を作るときも、ログキャビンを作るときも、果
樹園を作るときも、つねに情熱とエネルギーを傾注し、それに喚起されて周りの人も同じように興奮しエネルギーを得たものだった。 その結果はいつもすばら
しいものであった。
重要だと思うものに優先順位をつけるなら、彼はまず家族、次にコミュニティ、三番目に教育を挙げたであろう。 かれは「西洋の啓蒙思想」を信じており、
彼の言葉によればそれは有権者を大事にするためには民主主義と社会がもっとも適していることを示していると述べ、かれはその信念を個人生活においても仕事
の上でも実践した。 かれの隣人や近隣の重要性に対する信念は、自閉症の世界で密接かつ大きな近隣社会を作ることに彼を向かわせた信念でもある。 彼を偉
大な心理学者にした要素は、同時に彼を偉大な父、兄弟、おじ、祖父、友人にした。 相手が誰であっても、その人を特別な人だと感じさせる能力をショプラー
博士は持っていた。
ショプラー博士には妻のマーガレット・ショプラー、妹のイレーン・ソロモン、子供たちボビィー、トミーならびにスージー・ショプラーと7人の孫、数多く
の甥や姪がいる。 また彼の周りには世界中の数え切れないほど多くの専門家、保護者ならびに自閉症児者がおり、すべての人が彼の人生、彼の研究に影響を受
けた。
1988年に専門職としての人生でもっとも誇りに思っているものは何かと聞かれて、彼は「すべての小さなことが累積しているのです。 自閉症に対するわ
れわれの関心、そしてわれわれのプログラムの運用。 それらのことをとてもうれしく思います。 もちろんそれは私自身ではなく、皆さんすべてのおかげだけ
れど、それでも本当にうれしい。 なぜならこのプログラムを通じて最高の仲間を得ることが出来たから。」
「でももし、助成金を得たとか、賞をもらったとか、そういう意味で何か一つだけ挙げよといわれたら、それは保護者の皆さんだと思います。 自分の子供た
ちの進歩を純粋に感謝し、興奮し熱意を持つ、そのことこそが私にとって研究の成果としてのデータと同じように大事なものなのです。 それを忘れることは出
来ません。」
作家であり自閉症の画家ジェシー・パークの母親であるクララ・パークはエリック・ショプラーについて世界中の親の気持ちを代表して次のように述べてい
る。
「子供の状態の責任は保護者にあると非難した人によって私たちに課せられた恐ろしい負担をあなたは誰にもまして軽減し、協働療法者として私たちを受け入
れ、私たちに理性的な人間であるという普通の感情を取り戻させてくださった。 私たちは私たち自身、同世代の親たち、そして今は中年になった子供たちだけ
でなく、まだ若すぎてあなたの仕事が自分たちにどういう意味を持っているのかに気づいていない世界中のすべての親に代わって感謝しています。」
エリック・ショプラーに対して正式な追悼を希望する方は、家族のご意向でお花に換えて、近年彼が特に大事にしていた以下のところに寄付してくださいとの
こと:
The Eric Schopler Endowed Chair in Autism Research
C/o Jean Yardley
Division TEACCH
CB#7180
University of NC at Chapel Hill
Chapel Hill, NC 27516
The Piedmont Wildlife Center
605-A N.C. Hwy 54W
Chapel Hill, NC 27516
Friends of Tarheel Angels
Department of Pediatrics
University of NC at Chapel Hill
CB#7220:
Chapel Hill、NC 27599-7220
ショプラー博士のメモリアルサービスは9月初旬に計画されている。 詳細はTEACCHのホームページ
www.teacch.comに掲載される。 または(919)966-
2173または(919) 966-8183に電話で問い合わせのこと。